これが目指す感想文の構成
感想文の構成例
読書感想文は全体像を考えて、それぞれのパーツ単位の文書を持ち寄って組み上げていけば、効率良く書くことができます。そこで当教室が提案する、書きやすい感想文の構成として、以下を提案します。
少なくともこれらの内容を書いていけば、規定の文字数にかなり近づくことが出来るはずです。
- まず、この本がどんな本なのかを説明する
- 自分がこの本を読んで感想文を書こうと思った理由
- 主人公の説明
- 作者が訴えたかったこと、それに対する自分の考えとその理由
- この本を読んで自分はどういう気持になったか、とその理由??
その結果、何か自分が行動を起こそうという気持ちになったか? - 最後に主人公や作者に対するメッセージ
順番を並び替えるのも良いでしょう。
いきなり書いてはいけない
いきなり原稿用紙に書いてはいけない
読み終わった感動の気持ちが高いうちに、と、いきなり原稿用紙に書き出してはいけません。何度も書き直したりする上で、原稿用紙が汚れたり、へたったりしてしまいます。
特に、文字数が足りない場合は書き足す必要がありますから、十分に下書きで構想を練ってから、原稿用紙に書き出して下さい。
感想文の構成を考える
まずは下書きですが、下書きも最初から文章を書く必要はありません。むしろ最初は文章を意識せず、感想文全体の構成を考えます。
最初に設計図を書くわけです。
- この本を選んだ理由
- どんなことが書かれている本か?
- 主人公はどんな人物か?
- 作者が読者に伝えたかったことは何か?
書くための言葉(文)を集めましょう
いきなり長い文章を目指して書き出すことはとても難しいものです。文章や表現を最初から意識するのではなく、最初は必要だと思うキーワードを書き並べることや箇条書きのスタイルで感想文として書きたいことを書き出すことから始めましょう。
小さなパーツから全体を作り上げていくようなイメージです。
感想文を書くことは何も難しい作業ではありません。
読みながら線を引いたり、マーク付けをした部分などから言葉を集めて、それに自分の感想を加えて、言葉をつないでいく作業です。
ある意味、パズルを作っているような作業です。
この、それぞれのピースにあたる分が「言葉集め」です。
まずは、できるだけたくさんの言葉のピースを集めましょう。
使わないピースになるかもしれませんが、ここでは言葉集めに集中しましょう。
「言葉集め」はノートに思いつく順に書いて、それぞれに番号をふっておくか、1枚の紙(付箋紙など)に1つの言葉(文)を書いて置いておく方法があります。
パソコンで下書きをするときの注意点
高学年で自分でパソコンを使えるようでしたら、パソコンで下書きを行い、最後に原稿用紙に手書きで写す方が効率的です。全体での文字数を把握したり、途中に文章を追加したりしたいときに、非常に便利です。
それと漢字を調べる手間も省けます。
ただ不思議な事に、考えてアイデアを出す作業は、キーボードを叩きながらよりも、紙に書きながらの方が豊富にアイデアが浮かぶ人が多いようです。
位置や大きさを考えずに、思いついたことを自由に書いて、目に見える形にできるのが、良いのかもしれません。
このため、最初の段階での「抜き書き」や感想文の大まかな構成を作るあたり、すなわち文章としての形となる前は、紙に手書きで作業しましょう。
書くためのテクニック
感想文は書き出しがクライマックス
小説などはその構成上、いきなりクライマックスが来るようなものはまずなく、徐々に盛り上がっていき、クライマックスを経て終わりへと向かいます。しかし、感想文はそんな順序を踏む必要はありません。むしろ、最も感動した部分から書き出した方が、その思いが読み手に伝わりやすいです。
また、書きたいことから書いていくことで、自分の主張も明確になり、自分も書いていくための意識を維持していくことにつながります。
その後も書きやすくなります。
まず、感情を最初に書くテクニック
感想文の書き出しは読み手を引きつける上で非常に重要です。「面白かった」、「感動した」などを膨らましながら、自分の形で表現します。それに続いて、何故そう思ったのかの理由を書いて、そこから「この本を選んだ理由」へと展開していくのも良いと思います。最初の部分から書かなくても良い
下書きは下書きですので、きちんと最初から書く必要などありません。自分がいちばん書きやすいと思ったところから書きましょう。
書き出したキーワードや箇条書きしたものから、最も書きやすいと思うところをピックアップして、短くても良いのでそれを文にしてみましょう。最も感動したところなどがやりやすいかもしれませんね。
このような作業を2、3やってみて、言葉から文を作り出す練習をやってみましょう。
あらすじは書くべきか?
答えとしては自由図書であっても、書く必要はないと思います。但し、どんなことが書いてある本なのかを短くまとめて書くことは必要だと思います。
あらすじよりも自分の感想の元となっている部分の説明や引用までで十分です。
あくまでも、感想がメインの文章にしましょう。
言葉のピースを並べてみる
「言葉集め」について書きましたが、ここではそれを元に文章を作っていきます。箇条書きされた言葉や文があると思いますので、それらの前後関係を考えて並べてみます。
途中で話が変わるようなケースもあるでしょう。
話がつながっているような場合は、それらのピースをつなぐために間に「接続詞」を入れてみます。
「だから」、「しかし」、「それでも」などなど。
いくつかのまとまった文ができたら、その文の前後関係や話のつながりを考えていきましょう。
感想は理由とペアで
「○○と思いました」と感想を書いたとしたら、必ず何故そう思ったのかの理由を書きましょう。感想→理由の順番でも良いですし、理由を先に「××だから、○○と思いました」の形でも良いです。
但し、同じパターンを何度も繰り返すと文章が単調なものになってしまいますので気を付けましょう。
「自分だったら」の感想
「自分だったら『降りろ』とは言わなかったと思う」。これは「蜘蛛の糸」について、自分が犍陀多(カンダタ) だったら、という立場ので感想の例です。
さらに続けて、「自分だったら、途中で糸の下の部分を自分で切ったと思う。けど、その瞬間に糸の上の方も切れてしまったことだろう」といった感じで、作中の主人公と違った考えや行動を行ったであろうことを記します。
ここでも大事なことは、なぜ自分はそう思ったのかを書くことです。
本の例を実社会に展開してみる
例えば、「蜘蛛の糸」の場合、世の中には自分のことしか考えていない人が実際に多い、ということに展開し、作者の主張を「このような世の人々への戒めだったと思う」といった感じに書くことができます。この他にもこのような例の本が見つかると思います。
「なぜ?」は魔法のキーワード
読むところでも言いましたが、「なぜ?」は感想文を書く上で魔法のキーワードです。「なぜ?」をいくつ書き出すことができましたか?。
集めた「なぜ?」を並べて自分が大切だと思う順に順位付けを行いましょう。
集めた「なぜ?」をただ書き並べて、「なぜだと思いました」では良い感想文とは言えません。
「なぜ?」と思うことは大切ですが、それ以上に自分の考えを示さないといけません。
ですから、実際に取り上げるのは3つくらいしておくのが良いと思います。
書くのが苦手ならどうする?
書くのが苦手ならどうする?
書き出しや構成はなかなか難しいものです。そこで1つのアイデアですが、主人公宛に手紙を書くスタイルでの感想文の書き方があります。例えば、「桃太郎さん、こんにちは。あなたは何故、鬼ヶ島に行こうと思ったのですか?。ぼくだったら、こわい鬼がいる鬼ヶ島に行こうなんて、ぜったいに思いません」、といった感じです。
問いかけに対して、自分の考えや感想を述べるスタイルです。
但し、このスタイルは低学年では有効ですが、高学年になると文章や構成が稚拙なものになってしまいますので、むしろ逆効果です。
「おもしろくなかった」も感想か?
はい、感想に正しいとか、間違っている、ということはありませんので、「おもしろくなかった」というのも、個人の感想としては成り立っています。但し、感想文の構成を考えた場合、単に「おもしろくなかった」だけでは、評価の対象になりません。
これは「おもしろかった」と書いただけの場合も同様です。
その感想に至った理由を合わせて表現することが求められます。
一般的に読書感想文は、面白かったとか、感動した、といった、ポジティブな感想が多数となります。
読み手(先生や審査委員)もそういう前提で読みますので、そこに否定的な感想文があるとなると、読み手を納得させる程度の技量が求められることになります。
単にネガティブでは評価が悪くなることが予想されます。
丸写しは必ずバレる!?
本から必要な部分を書き写すことを「引用」と言います。この引用はその箇所が分かるように「」(かぎかっこ)でその始めと終わりを明示するルールとなっています。
それ以外の本の帯やインターネットのサイトなどの文章は、本来引用する必要のないものです。
どうしてもその要約やあらすじを書く必要があって、上手い文章があったからと言って、それを丸写ししてはいけません。
人が書いた文章というのはそれぞれに特徴があるものです。
それが妙に上手い文章であれば、読み手はそれが本人が書いたものでないことぐらい、すぐに分かってしまいます。
何しろ相手はこれまでに多くの文章を読んできたプロなのですから。
締めの大事なポイント
自分はどう行動すべきか?
本を読む目的は、そこから得た知識などを実践に生かすことでしょう。単に知識を吸収したことで満足せず、知識は実践して初めて効果をもたらします。
「感動しました」なら、その感動した気持ちをエネルギーとして、今までの自分とは違う自分を目指してみることも良いと思います。
そこで、感想文の最後には、その本を読んで得た知識や感動をこれからの生活にどう役立てて生きたいか、この本を読むことがこれから自分が変わるきっかけになるだろうこと、について書きましょう。
この締めの言葉が必ず読み手の高評価につながるはずです。